5.群雲塗り
その1.
いよいよ、塗り編に入ります。
まず、下塗りの上に黒を塗ります。そして、「マイラー」の型を置いてやります。「型置き」は、「マイラーをピンセットで挟んで適当な所でピンセットを離す」という具合にします。こんな具合です。
ここで、「型置き」について触れておきます。下塗りの終わった「ウキ」は滑らかになっています。そのままでは、重ね塗りをした後、研ぎだしても、綺麗な模様は出ません。
「型置き」の簡単な例として、塗った後すぐに、菜種などの種を振り掛ける方法があります。乾燥後、種を落とすと、種の所が凹んでいます。その上に別の色を重ね塗りし、乾燥後、研ぎだすと水玉模様が出る訳です。
「マイラー」の型置きでは、種を振り掛ける方法とは逆に、マイラーの部分が盛り上がっています。
その2.
「マイラー」の型置きが乾燥後、黒を塗り、半乾きの時に、純金箔を貼り付けます。下の写真では全面に貼り付けていますが、部分的に貼り付けても結構です。文字を入れる、蒔絵を描く場合はそこを外して金箔を貼れば良いでしょう。
金箔は、高いですが、やはり純金箔が良いようです。私は、京都で手に入れた物がありますが、地方でも手に入るでしょう。なんと言っても、純金箔と言えば、店の人に判りますから。
金箔を貼り付けると、乾きが遅いですから、乾燥に最低1週間ぐらいは、時間を掛けます。
ガタガタになっていて良いのです。このガタガタの部分が模様になります。
その3.
群雲塗りを見ると、金箔を入れているのは判りますが、その上に塗っている色が判らないようです。
金箔の上には、「緑」と「黒」を半々に混ぜたものを塗ります。こんな具合です。
あまり緑が判らないようですが、これで半々に混ぜたものです。塗りは斑が出るように波打って塗っています。
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「黒」を混ぜると言うのが、盲点のようで、なかなか気が付きません。
さらに、「緑」+「黒」が半乾きの時に、純金箔を貼り付けます。
あの複雑な模様は、金箔を「2重」に貼り付けて作っていたのです。後からの金箔はほとんど削り落としてしまいますから、なかなか判りません。それに、純金箔ですから、まさかと思うようです。純金箔は高いですが、上手に貼れば、2重に貼っても、数十円で済みます。
群雲塗りの秘密は、「マイラー」の型置きと、「緑」+「黒」を2重の金箔の間に塗ることにあるのです。
ついでに、言っておきますと、「マイラー」は数色を混ぜて使っています。「マイラー」は手に入れるのが難しいかもしれません。現在、私の手持ちが一生使っても使い切れないほどありますので、必要ならお分けいたします。
乾燥に1週間ぐらい掛けた後、「黒」を塗ります。なお、これらの過程では研ぎ出しをしません。
6.群雲塗り(研ぎ出し)
次に、研ぎ出しです。私は、水ペーパー400番、800番、1500番と3回に分けて研ぎだしています。カシュー塗料は1週間以上掛けて乾燥させている訳ですが、まだまだ、十分ではありません。それぞれのペーパーで研ぎだした後、やはり、1週間程度乾燥期間を置いています。
特に、最後の1500番での研ぎ出しでは、模様を見ながら丁寧に仕上げて行きます。
1500番での研ぎ出しが終わったものです。水を付けて撮影しています。
これで、群雲塗りは終わりです。次は仕上げです。